転勤が決まったらやることリスト|内示から引っ越し後まで、順番と期限がひと目でわかる
転勤の内示を受けた日は、考えることが一気に押し寄せてきます。家はどうするのか。引っ越しはいつなのか。子どもの学校は。役所の手続きは――。
でも、全部を同時に考える必要はありません。転勤の準備は、「早く動いたほうがいいもの」と「期限が決まっているもの」の2種類に分けられます。この2つさえ押さえれば、あとは時期が来たものから片づけていけば間に合います。
この記事では、内示から引っ越し後までにやることを、5つの時期に分けて順番に並べました。最後に、印刷して使えるチェックリスト(A4・1枚)も用意しています。
先に結論:内示から1週間でやることは3つだけ
- 会社に条件を確認する(着任日・住まい・費用)
- 家族で「単身赴任」か「家族で引っ越す」かを決める
- 家探しと、引越し業者の見積もりを始める
役所の手続きは、引っ越しの2週間前からで間に合います。
全体の流れ:転勤の準備は5つの時期に分かれる

内示(ないじ)から着任までの期間は、会社によってまちまちです。1か月ほどあることもあれば、2週間しかないこともあります。
下の流れは、1か月ある場合の目安です。期間が短いときにどこを優先するかは、後半の「着任まで2週間しかないとき」で説明します。
内示〜1週間
会社の条件を確かめて、家探しと引越しの見積もりを始める
- 会社に条件を確認
- 単身赴任か、家族で引っ越すかを決める
- 家探し・引越しの見積もり
1か月前〜2週間前
準備に時間がかかるものを、早めに申し込む
- 今の住まいの解約を伝える
- ネット回線の申し込み
- 学校・保育園への連絡(家族で引っ越す場合)
- 粗大ごみの予約
2週間前〜前日
役所・郵便・電気ガス水道の手続きをする
- 転出届
- 郵便の転居届
- 電気・ガス・水道の連絡
- 荷造り
引っ越し当日
引っ越し本番。ガスの開栓に立ち会う
- 前の家を退去する(鍵を返す)
- 新しい家の鍵を受け取る
- ガスの開栓に立ち会う
引っ越し後すぐ(14日以内が目安)
期限が決まっている手続きを済ませる
- 転入届とマイナンバーカード
- 児童手当
- 運転免許証・車
- 子どもの転入学(家族で引っ越す場合)
① 内示が出たら、最初の1週間でやること

会社に確認すること
最初にやるのは、会社が何をどこまで用意してくれるのかを確かめることです。ここがわからないまま家や業者を決めると、あとで「それは自己負担です」と言われることがあります。
聞いておきたいのは、次の7つです。
| 確認すること | 聞いておく理由 |
|---|---|
| 着任日 | 引っ越しの期限になる。すべての予定はここから逆算する |
| 住まい(社宅・借り上げ社宅・住宅手当) | 会社が用意するのか、自分で探すのかで動き方が変わる |
| 引っ越し費用の負担範囲 | 荷物の量に上限があったり、エアコンの取り外しや不用品の処分が対象外だったりする |
| 会社が決めた引越し業者の有無 | 決まっていれば自分で業者を探さなくてよい。ただし日程は選びにくいことがある |
| 赴任手当・単身赴任手当 | 金額と、いつ支給されるか。引っ越し直後のお金の見通しに関わる |
| 家探しの交通費 | 下見に行くときの交通費が出張扱いになるか、自分持ちか |
| 帰省の旅費(単身赴任の場合) | 月に何回まで会社が出してくれるか |
※借り上げ社宅…会社が借りた部屋に、社員が住む形のこと。
口頭で聞いた内容は、メールでも送ってもらうと安心です。転勤の時期は人事の担当者も忙しく、「言った・言わない」になりやすいからです。
単身赴任か、家族で引っ越すかを決める
家族がいる場合、いちばん大きな決めごとがこれです。どちらが正解ということはありません。国の研究機関(労働政策研究・研修機構)の調査で単身赴任を選んだ人に理由を聞くと(複数回答)、多かったのは「持ち家があったため」48.0%・「子の就学・受験のため」44.5%・「配偶者が働いていたから」26.2%でした。次の表を目安に、わが家に当てはまるほうを考えてください。
| 考えること | 単身赴任になりやすい | 家族で引っ越しやすい |
|---|---|---|
| 子どもの学年 | 受験が近い、中学・高校の途中 | 小学校に上がる前、小学校の低学年 |
| 配偶者の仕事 | 続けたい仕事がある | 在宅でできる、転職しやすい |
| 住まい | 持ち家(ローンを返している) | 賃貸 |
| 転勤の期間 | 1〜2年で戻れそう | 長い、または決まっていない |
| 親のこと | 近くに、介護や見守りが必要な親がいる | 特になし |
単身赴任にすると、家賃や食費、帰省の交通費がかかり、生活費が二重になります。会社の手当でどこまでまかなえるかを、さきほど確認した条件と合わせて計算しておくと決めやすくなります。
家探しと、引越し業者の見積もりを始める
社宅が用意される場合、家探しはいりません。自分で探す場合は、次の2つを条件にして探します。
- 家賃が、会社の決めた上限におさまること
- 着任日より前に入居できること
現地に行けないときは、ビデオ通話で部屋を見られる「オンライン内見」に対応した不動産会社を選ぶと、見ないで決める不安が少し減ります。
引越し業者は、会社の指定がなければ2〜3社に見積もりを頼んで比べます。特に3月下旬から4月上旬は引っ越しが集中する時期です。料金が高くなるうえ、希望の日に予約が取れないこともあります。この時期の転勤なら、内示の週のうちに見積もりを頼むくらいでちょうどいいです。
② 引っ越しの1か月前〜2週間前

住まいと日程が決まったら、次は申し込んでから使えるまでに日数がかかるものを先に頼んでおきます。
今の住まいの解約を伝える
賃貸なら、管理会社か大家さんに退去する日を伝えます。「1か月前までに連絡」という契約が多いものの、「2か月前まで」という契約もあります。連絡が遅れると、引っ越したあとの分の家賃まで払うことがあるので、まず契約書を見て確かめてください。
社宅に住んでいる場合は、会社の担当部署に退去の手続きを確認します。
ネット回線を申し込む
新居で光回線を使うなら、住所が決まった時点で申し込みます。開通に工事がいる場合、時期によっては数週間待つことがあるからです。
工事が間に合わないときは、コンセントにさすだけで使える「ホームルーター」を、工事までのつなぎにする方法もあります。
子どもの学校・保育園に連絡する(家族で引っ越す場合)
子どもも一緒に引っ越す場合の手続きです。単身赴任で子どもが今の家に残るなら、ここは飛ばしてかまいません。
小学校・中学校は、今の学校に転校することを伝えて、次の2つの書類を受け取ります。どちらも転校先で必要になります。
- 在学証明書(今の学校に通っていたことの証明)
- 教科書給与証明書(受け取った教科書の証明)
保育園は、転居先の市区町村で、入園の申し込みをし直すことになります。申し込みの締め切りは市区町村ごとに違い、「入りたい月の前の月の上旬まで」というところも少なくありません。転居先の市区町村のサイトで、早めに締め切りを確かめてください。
粗大ごみの収集を予約する
市区町村の粗大ごみの収集は、予約制のところが多いです。引っ越しが多い時期は、収集日が数週間先になることもあります。捨てるものが決まったら、すぐに予約を入れておきます。
③ 引っ越しの2週間前〜前日

転出届を出す(別の市区町村に引っ越す場合)
転出届(てんしゅつとどけ)は、今住んでいる市区町村から出ていくときに出す届けです。役所の窓口で出すと「転出証明書」がもらえます。これは引っ越し先で使うので、なくさないようにしてください。
多くの市区町村では、引っ越す日の14日前ごろから受け付けています。
マイナンバーカードがあれば、国のオンライン窓口「マイナポータル」から、スマホで転出届を出すこともできます。この方法なら役所に行かなくてよく、転出証明書もいりません。ただ、受け付けから処理まで数日かかる市区町村もあるので、ぎりぎりではなく余裕をもって出します。
なお、同じ市区町村の中で引っ越す場合、転出届はいりません。引っ越したあとに「転居届」を出すだけです。
郵便の転居届を出す
郵便局に転居届を出すと、前の住所あての郵便物が、届け出た日から1年間、新しい住所に届くようになります。
インターネットで申し込める「e転居」なら、スマホから申し込めます。どの方法でも、届け出から転送が始まるまで3〜7営業日ほどかかります。引っ越しの1週間前までに済ませておくと安心です。
電気・ガス・水道に連絡する
今の家での使用停止と、新しい家での使用開始を、それぞれの会社に連絡します。
電気と水道は、立ち会いがいらないことがほとんどです。一方、ガスは使い始めるときに立ち会いが必要です。土日は予約が埋まりやすいので、引っ越し日が決まったら早めに日時を押さえておきます。
荷造りは「使わないもの」から
荷造りは、引っ越しの日まで使わないものから始めます。季節外の服、本、思い出の品など。
食器や洗面用具など、毎日使うものは前日か当日の朝に詰めます。早く詰めすぎると普段の生活で困るので注意しましょう。
前日にやること
- 冷蔵庫の電源を切り、霜取りと水抜きをする
- 洗濯機の水抜きをする
- 当日持ち歩く荷物を、一つのバッグにまとめる
④ 引っ越し当日
当日は、前の家で荷物を運び出して鍵を返し(退去)、そのあと新しい家に荷物を運び入れます。新しい家の鍵をいつ・どこで受け取るかは、前日までに不動産会社と確認しておきます。
見落としがちなのが、新しい家での最初の夜に使うものです。荷物を全部ほどくのは次の日以降になるので、次のものは段ボールに入れず、手で運ぶ荷物にしておくと困りません。

手で運ぶ「最初の夜セット」
- カーテン…ないと外から部屋の中が丸見えになる
- 照明…照明が付いていない部屋もある
- トイレットペーパー
- スマホの充電器
- タオルと着替え
- 新しい家の鍵、契約書類、印鑑
⑤ 引っ越し後すぐにやること(期限があるもの)

引っ越したあとの手続きには、法律や制度で期限が決まっているものがあります。特に転入届は、期限を過ぎるとマイナンバーカードが使えなくなり、作り直しが必要になります。最優先で済ませてください。
| 手続き | 期限 | どこで | ポイント |
|---|---|---|---|
| 転入届(別の市区町村から来た場合) | 引っ越した日から14日以内 | 新しい住所の役所 | 転出証明書と本人確認書類を持っていく。マイナンバーカードがある人はカードも持っていく(スマホで転出届を出した人は必ず) |
| マイナンバーカードの住所変更 | 転入届と同時に | 新しい住所の役所 | 引っ越した日から14日、または転出届に書いた引っ越し予定日から30日を過ぎて転入届を出すと、カードが使えなくなる(失効する) |
| 児童手当 | 引っ越す予定日の翌日から15日以内 | 新しい住所の役所 | 遅れると、遅れた月の分がもらえないことがある。単身赴任でも、児童手当を受け取っている人が引っ越すなら必要 |
| 運転免許証の住所変更 | すみやかに | 新しい住所の警察署・運転免許センター | マイナ免許証だけを持っている人は、先に警察で利用の手続きをしておけば、役所に転入届を出すだけで済む(従来の免許証も持っている人は対象外) |
| 車の住所変更(車検証) | 15日以内 | 運輸支局(軽自動車は軽自動車検査協会) | 車検証の手続きに車庫証明がいるので、先に新しい住所の警察署で車庫証明をとる |
| 子どもの転入学(家族で引っ越す場合) | 転入届のあと、すぐに | 役所・教育委員会 | 転入届を出すと、役所で通う学校が書かれた書類(転入学通知書)がもらえる。それと在学証明書・教科書給与証明書を新しい学校に持っていく |
| 犬の登録の変更 | 30日以内 | 新しい住所の役所・保健所など | 前の住所でもらった鑑札を持っていく。マイクロチップを国の登録サイトに登録している犬は、サイトで住所を変えるだけで済む市区町村もある |
※家族に国民健康保険の人がいる場合は、その手続きも転入届と一緒にします。国民年金は、マイナンバーと結びついていれば住所変更の届け出はいりません。会社の健康保険に入っている人は、会社に新しい住所を届ければ足ります。
期限はないけれど、早めに済ませたいもの
次のものは住所変更の期限がありません。ただ、郵便の転送は1年で終わるので、それまでにひと通り済ませておきましょう。
- 銀行・証券会社
- クレジットカード
- 生命保険・自動車保険
- 携帯電話
- よく使う通販サイト
- 会社(新しい住所と通勤経路)
着任まで2週間しかないときは、ここだけ押さえる

内示から着任までが短いと、ここまでの流れを全部こなすのは無理があります。そんなときは、遅れると困るものだけを先にやり、ほかは着任後に回します。
先にやる(遅れると困る)
- 会社への条件確認
- 住む家を決める
- 引越し業者の予約
- 転出届
- 郵便の転居届
- ガスの開栓の予約
後でいい(着任後でも間に合う)
- 銀行・カードなどの住所変更
- 季節外の服など(後から宅配便で送る)
- 光回線の工事(当面はホームルーターで)
- 部屋の片づけ・家具選び
単身赴任なら、家具・家電付きの部屋を選んだり、家電をレンタルにしたりして、運ぶ荷物そのものを減らすのも一つの手です。
印刷して使えるチェックリスト
この記事の内容を、A4用紙1枚のチェックリストにまとめました。冷蔵庫などに貼って、終わったものから印をつけて使ってください。

転勤が決まったら
やることチェックリスト
ここが気になる!転勤準備のポイント

Q. 単身赴任でも、住民票は移すの?
住民票は、ふだん生活している場所に置くのが原則です。目安として、赴任先での生活が1年以上続くなら、移すのが基本です。
ただし、週末ごとに家族のいる家に帰るなど、生活の中心が自宅にあると言える場合は、移さないこともあります。迷ったときは、赴任先の役所に相談してください。
Q. 転出届は、何日前から出せるの?
多くの市区町村では、引っ越す日の14日前ごろから受け付けています。正確な日数は、今住んでいる市区町村のサイトで確かめてください。
Q. 会社が決めた引越し業者がある場合、ほかの業者に頼んでもいい?
会社の決まりしだいです。決められた業者以外を使うと費用が出なかったり、出る金額に上限があったりします。まず人事に確認してください。
まとめ
転勤の準備は、やることの数は多くても、一つひとつは難しくありません。内示から1週間で会社の条件を確かめ、住まいと引越し業者を押さえてしまえば、あとは時期ごとに片づけていくだけです。
期限が短く、遅れると困るのは、引っ越し後の転入届(14日以内)と、児童手当(引っ越す予定日の翌日から15日以内)です。この2つだけは忘れないよう、カレンダーに書き込んでおいてください。
参考にした情報
- 引越し手続オンラインサービス(デジタル庁)
- 転居・転送サービス(日本郵便)
- 児童手当(こども家庭庁)
- マイナンバー制度とマイナンバーカード(総務省)
- 自動車検査登録総合ポータルサイト(国土交通省)
- 転勤に関する個人web調査(労働政策研究・研修機構・2017年公表)
※2026年10月時点の情報です。期限や手続きの細かい決まりは、市区町村や会社によって違うことがあります。
